こんにちは。ジェイグラブの横川です。
eコマースを行う際に、サイトのデザインが重要であることは言うまでもありません。しかし、eコマースの目的と手段を考えたとき、ウェブデザインは「目的」でしょうか?私はそうは思いません。
eコマースにとっての「目的」は商品を販売して利益を上げること。身も蓋もない言い方をすれば、お金を稼ぐことです。ウェブデザインはその目的達成のための「手段」にすぎません。
ところが、日本の企業の中には(体感的には6~7割くらい)、その目的と手段を混同してしまう、あるいは、はき違えてしまっていることが多いです。売るという目的のための手段としてのデザインは必要に応じて変えることもありますし、オープンして翌日に1000万円も稼ぐサイトなど、無いに等しいですから、オープンまでにデザインを完璧にしておく必要などないと思っています。
運営しながら変更していくことで十分ではないかと思います。オープンまでに完璧にしておかないとならないのは、売るという目的を達成させるためのカートシステム、決済システムや物流の準備などのはずです。これらが完璧になっていれば、売るという目的は達せられます。eコマースの基本動作ができてないのにデザインを完璧にしても1円も稼げないのです。
このあたりを間違える人が日本の企業に多いのですが、そうした目的と手段を正しく捉えた上で、より成功するデザイン6つの実践を行っていただくと良いかと思います。記事は米経済紙forbesにあった記事の抜粋です。
eコマースWEBデザインのための6つの実践
誰かが御社のサイトについてなんらかの考えを持つのに要する時間は50ミリ秒です。つまり、第一印象が重要です。
Squareの調査によると、85%の消費者がビジネスにとって質の高いウェブサイトを持つことは重要だと答えています。これが、回答者に若い世代が多く含まれている場合は、その数字は91%に跳ね上がります。
サイトデザインの正しい実践に従うことで、顧客が御社のブランドを肯定的にオンラインで体験できるようにしましょう。これらの6つのデザイン要素は、訪問者が御社のサイトやビジネスをどのように評価するかに影響を与えるのです。
一貫したブランディング
御社のブランドに精通している人は、御社のサイトが会社の外観やスタイルを反映していることを期待します。そのような人がページにたどり着いて、「ここでいいのかな」と思ってしまうのは避けたいもの。サイトのデザインの最初のステップは、ブランディングでオムニチャネルのアプローチを取ることです。
ページにはロゴを明確に表示しましょう。サイトのデザインにテンプレートを使用している場合は、名刺やショッピングバッグなどのアイテムに使用している色やフォントと同じものを選択してカスタマイズしてください。
※コーポレートカラーやフォントを統一する
そして、この戦略は、ブランドのメッセージを含める必要があります。例えば、サイトのキャッチコピーは、店舗やSNSにあるものと合わせます。また、チャットやライブ配信など、オンラインでの顧客とのやりとりを通じてブランドイメージを拡大させます。
クリーンなデザイン
Adobeの調査によると、60%近くの人が視覚的に楽しいサイトを好むと報告しています。ページのデザインに関しては、「少ないことは良いこと」です。テキストや写真をたくさん追加したくなるかもしれませんが、そのアプローチは訪問者を圧倒してしまう可能性がありますトップページは実店舗の店頭と考えましょう。そうしたらフロントウィンドウに販売するすべてのものを置きませんか?eコマースではその代わりに、印象的なグラフィックと最も重要なメッセージを書いて顧客を魅了させます。
余白は、サイトのバランスを整え、余裕を持たせることができます。それは気が散ることを最小限に抑え、消費者があなたのコンテンツや製品を理解するのに役立ちます。また、製品ページには箇条書きを使用することで、コンテンツをより読みやすくすることができます。
日本の企業の場合、万が一のことを考えすぎて、不安からいろいろな情報を乗せすぎる結果、あたかもアダルトサイト並のデザインにしてしまうことがあります。気をつけましょう。
また、「余白の美」ということを意識しましょう。禅的アプローチは日本より、欧米のサイトのほうができています。皮肉なことです。
高品質の写真
百聞は一見に如かずという言葉の通り、これはサイトには欠かせません。2018年のオンラインショッピング利用者に関する調査では、75%以上が素晴らしい写真が購入するかどうかに影響を与えていると答えています。
「(ヘミングウェイも規範にした)語らずに示せ」のアプローチを取りましょう。例えば、当社の調査では、買い物客の3分の2近くが複数のカメラアングルが購入の意思決定に影響を与えると答え、半数以上がクローズアップと距離感のある写真の組み合わせが重要だと答えています。
カメラを使いこなせる人で、照明がしっかりしていれば、自分で写真を撮ることができます。そうでない場合は、プロの写真サービスを利用しましょう。良い写真があることを確認することで、返品率を下げることができます。オンラインで購入した商品の22%が、写真と違っていたために返品されています。
写真は商品の販売者だけのものではありません。あなたのサービスを表現するライフスタイル写真(利用シーン写真)は、顧客とのつながりを深めるのにも役立ちます。
ジェイグラブではプロのフォトグラファーによる商材撮影サービスもありますし、2021年には共催セミナーも行う予定です。
直感的なナビゲーション
消費者の4分の3以上が、サイトのデザインで最も重要な要素は、欲しいものが見つけやすいことだと答えています。これは、消費者が期待する場所に配置することで、中断することなく目的の場所へ移動できるようにすることを意味しています。そうしないと、売上を失うことになりかねません。
ナビゲーションバーは、ヘッダー、左上、右上、サイドバーなど、予測可能な位置に配置し、見つけやすいようにしましょう。シャープな色のコントラストを使用することで、ナビゲーションバーを目立たせ、視認性を向上させることができます。ほとんどのテンプレートには、ナビゲーションの実績からベストな場所にすでに用意されています。
また、ユーザーがサイトを閲覧している間、「スティッキーナビゲーション(ページをスクロールしてもメニューが常に視野にある状態)」メニューは固定されているため、長いページをスクロールして戻る必要がありません。
また、ナビゲーションにはわかりやすいタイトルを使用しましょう。分かりやすさを犠牲にして、巧妙にしたり、専門用語を使ったりすると、逆効果になる可能性があります。例えば、「Savvy Solutions」という名前を付けるのは創造的だと思うかもしれませんが、「カタログ」という言葉を使うとはっきりします。
また、サイト検索機能を含めることも忘れないでください。これにより、顧客は自分で時間をかけてリンクをたどって探すことなく、必要なものをすぐに見つけることができます。顧客の半分は、探しているものが見つからないと購入しません。
明確なCTA(コール・トゥ・アクション)
優れたナビゲーションには、ユーザーのための明確なコール・トゥ・アクション(※CTA/行動喚起。ユーザーに想定している行動を取るように誘導すること。多くはリンクやボタンで表現する)も含まれています。これにより、潜在的な顧客にクリック、購入、またはサインアップする理由を与えることができます。コンバージョン率を高めるためには、目立ち、混乱させない直感的なものでなければなりません。
CTAボタンの色にはこれといった統一的見解はありませんが、コンバージョン率を高める色としてはオレンジと赤が人気があります。しかし、最も重要なデザイン要素は、ボタンが目を引くことです。これは、背景色に対して視認性の高い色を使用することを意味します。
そして、行動しやすいコピー、例えばCTAボタンに使用されるトリガーとして、”購読”、”カートに追加”、”ここをクリック “などがあります。
レスポンシブデザイン
モバイルはトラフィックの約半分を占めており、レスポンシブデザインを採用することで、ユーザーが画面をつまんで表示を調整することなく、あらゆるデバイスでサイトを適切に読み込むことができます。Retail Touchpointsによると、モバイルは2021年までにeコマースの取引の54%を占めると予想されています。
ほとんどのテンプレートはモバイルフレンドリーに設計されていますが、ロード時間を考慮することも重要です。Kissmetricsによると、47%の人がページのロード時間を2秒以下にすることを期待しています。Googleの調査によると、ページのロード時間が1秒から10秒になると、モバイルサイトの訪問者が離れてしまう確率が123%上昇することがわかりました。
ウェブサイトの画像のサイズに注意を払うことで、ロードタイムを改善することができます。レティナ(高画素密度)デバイスは鮮明さを向上させますが、大きな画像ファイルは読み込み速度を低下させ、数秒の遅延は訪問者の注意をそらす可能性があります。Googleは、画像とテキストを圧縮することで、ページの25%が250KB以上をセーブし、ロードタイムを向上させることができることを発見しました。
これらの実践をすることで、サイトのデザインを改善し、より良いユーザー体験を与えることができます。これは、顧客にも御社にも利益をもたらすWin-Winとなります。
参考:6 Best Practices For eCommerce Website Design (forbes)
この記事を読まれて気づく点がもう一つあります。記事ではデザインテンプレートについて何箇所かで触れている点です。日本では他社との差異化はデザインだという意識が強いためか、オリジナル性を強く求める傾向がありますが、冒頭に申し上げたように、デザインは売るための手段のひとつであって、目的ではないので、デザインは実績あるテンプレートで作成し、デザイン以外の手段をたくさん併用させて差異化を図ればいいのです。
一番手っ取り早いのは、御社にしかできないこと、御社にしかない知識などをコンテンツとして散りばめることです。海外ではこういった思想でサイトを作っていくので、オープンが早く、早く結果を出していけるのです。これもセミナーでクドいくらい言っていることですが、越境ECをやってる時は頭の中を海外モードに切り替えましょう。これに尽きます。